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そもそも美術品ってなに?
よく言われる美術品というのはそもそも一体どういうものなのか、改めて訊かれてしまうとそれにうまく答えられないという方は少なくないかと思います。
美術とは言い換えれば芸術であり、それは主に視覚情報としてとらえることを目的として表現・造形された芸術の総称であり、視覚芸術と呼びかえることも出来、また、単純にアートと呼ばれることもあります。
美術芸術の起源は原始時代の洞窟壁画まで遡り、著名なラスコーの壁画など、当初は芸術という感覚は存在せず、ただひたすら呪術的な目的で描かれていました。
しかし純粋に美術品として評価してみると、牛や人間といった対象の姿を巧みに捉えて描き出されており、それは単に日常的実用性からは乖離した表現手法を用いられており、美術史の嚆矢を飾るものとしてふさわしいものと言える出来映えでもあります。
また、古来より美術を含む芸術全般は常に宗教色に彩られてきましたが、近代以降になると宗教から一定の距離を置く作品が制作される様になり、やがてそれは美術の一分野を担い、やがてはそれが主流となって、多くの作者によって個性豊かな表現を発露した美術品が世に送り出されるようになり、現代に至ります。

では印刷品っていつ頃から作られてたの?
さて、ではリトグラフの様に刷られた作品というのは、一体いつ頃から存在していたのでしょうか。
印刷の歴史を紐解いてみると、2世紀頃に紙を発明した中国で7世紀頃には木版印刷が行われていたとの記録が残っています。
また、11世紀になると陶器印刷が行われており、13~14世紀の朝鮮(高麗)では金属活字印刷が行われていた様です。
なお、現存する印刷物で製作年代がはっきりと特定出来ている世界最古のものは日本にあり、天平宝字8年(764年)から6年の年月をかけて100万巻も刷られたという百万塔陀羅尼は、陀羅尼を版に凸状に彫った上に幅4.5cm・長さ15cm~50cmの虫食い防止用黄檗で染めた紙を載せ印刷されました。
ヨーロッパでは、1450年頃にグーテンベルクによる金属活字・活版印刷の発明によって印刷が急速に広まります。
当時の印刷物は宗教書が多く、活版印刷による聖書の普及は、ルターらによって行われた宗教改革に繋がりました。
この頃からヨーロッパでは凹版が登場し絵画、挿絵といった芸術作品を元にした印刷品も多く世に出される様になります。
また1798年にはドイツでセネフェルダーがリトグラフを発明し、現在主流の平版オフセットは、1904年にアメリカのルーベルが発明しました。

結局、美術品と印刷品の違いはなに?
美術品、印刷品、それぞれに長い歴史があることはわかりましたが、では結局この両者の違いは何なのでしょう。
まず、刷った物であろうと、一品物のキャンバス画であろうと、どちらも美術品であることに変わりはなく、そういう意味で言えば、これら双方は同じ物と言うことが出来ます。
ただ、例えばここにピカソの描いた絵画があって、もう一方にそれを元にして刷った作品があったとします。
この時、絵画と印刷の両方を同じ芸術作品と評価して美術品であると断じることは可能ですが、だからと言って、元の絵画と同じだけの価値を刷った物にまで認めると言う人間はまずいないでしょう。
この違いは何なのかと言えば、それはずばり希少性の違いです。
キャンバスに描かれた一品物の絵画は一枚きりのオンリーワンであり、当然ですが、全く同じ物はこの世に二つと存在しません。
その希少性こそが絵画という美術品の持つ強みであり魅力である訳ですが、一方刷った方はどうかと言うと、同じ物を大量に刷ることが出来るので希少性が高いとは言えません。
しかしその反面、一品物の作品に比べて安価に大量に供給することが出来るので、より多くの人の目に触れる機会が増えるという利点があります。
両者の違い、強みというのはつまりそういうことだということです。


  • 最終更新:2016-05-12 20:29:55

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