知っているようで知らない印刷の深~い歴史

中国で発明された技術
人類の長い歴史の中でも印刷は古くから行なわれています。人間が文字を発明して以来、それを粘土板や紙などに記載して情報を記録できるようになりましたが、これらのものは手書きで行なうのがほとんどでした。ですから欲しい書物を手に入れたいときには、その書物を借りて自分で一文字ずつ書き写さなければいけませんでした。このような方法で書物を複製するのはたいへん手間ひまがかかるので、簡単に書物を複製する方法が必要となり、そうした経緯で発明されたのが印刷の技術です。この技術はまず中国で発明されました。中国でこの技術が発展したのは、印刷に必要となる紙が古くから発明されていたからです。中国では2世紀ごろから紙の作り方が発明されていて、技術が発展する下地がありました。世界ではじめて開発された技術は木版印刷です。正確な年代はわかっていませんが、中国では7世紀ごろから木を使用した方法が行なわれていたと伝えられています。木版印刷とは木の板の表面に文字や図柄を彫ったものを使用して印刷する方法です。こうした方法を用いたもので、現存する世界で最も古いものは日本にあります。それが法隆寺に保管されている百万塔陀羅尼です。

周辺世界への普及と活字の発明
中国で始められた木版印刷はその後周辺地域の朝鮮や日本にも伝えられ、これらの国々でも8世紀ごろには行なわれるようになります。そして中国で発明されたこの技術は東洋だけでなく、西洋にも伝播していきます。そのきっかけとなったのが8世紀の中ごろ起こったタラス河畔の戦いです。この戦いは唐とアッバース朝という異なる文化を持つ国どうしの間で行われましたが、このとき捕虜になった唐の人間の中に製紙職人がいたことにより、イスラム世界にも紙の作り方が伝わりました。そしてイスラム世界を通して紙の作り方はヨーロッパ諸国にも伝わっていきました。この紙を作る技術がヨーロッパに伝わったということが、後に印刷技術の発展にとって大きな意味を持ってきます。印刷の技術がその後飛躍的に進歩するきっかけとなったのは活字と金属を使用した方法が発明されてからです。活字が発明されたのも中国です。活字とは木や金属の表面に字を刻んで、そこにインクをつけることにより、何回でも同じ文字が紙の上に印刷できるようにしたものです。木で作るものは耐久性に限界があるために金属で作られた活字が作られたことにより、印刷がより容易に行なえるようになっていきました。

ヨーロッパ世界で発展
金属を使用した方法が歴史上大きく発展したのは15世紀の後半です。ドイツ人であるヨハネス・グーテンベルクが発明した方法がヨーロッパに普及したことにより、多くの書籍が出版されるようになっていきます。グーテンベルクが発明した方法が歴史的に大きな意味を持っているのは、ヨーロッパにおいてはじめて行なわれた活字による印刷だったからです。活字を大量に製造できる方法の発明、油性インクを使用したことなどが技術の発展に大きく貢献しました。それだけでなく、木製印刷機も独特の形状を持ったものを使用するなどして、多くの面において技術の進歩を促しました。これらの技術を上手に組み合わせることによって、グーテンベルクは書籍を簡単に複製できる技術をヨーロッパにもたらしました。こうした技術を用いて作られた書籍で当時もっとも多かったのが聖書などのい宗教に関する本です。この技術は羅針盤や火薬の発明とともに、ルネサンスの三大発明と言われています。その後18世紀の終わりごろにはドイツのセネフェルダーがリトグラフを発明しています。これが平版印刷の歴史のはじまりです。現在広く行われているのはこの方法を進化させた平版オフセット印刷という方法です。

  • 最終更新:2016-05-12 20:27:21

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード